JALAM NEWS LETTER

実験動物医学 NO.14/2000.2

主な内容

 

理事会報告

日本実験動物医学会のお知らせ

第13回日本実験動物医学教育セミナー

1.ワークショップ「マウス・ラットにおける微生物モニタリングの国際的ハーモナイ

          ゼーションの動向」

 (1)微生物モニタリングのハーモナイゼーション

熊本大学・動物資源開発研究センター  浦野 徹

  (2)ICLAS、FELASA及びアジアの動向

   財団法人実験動物中央研究所  伊藤 豊志雄

  (3)製薬会社の国際動向

ノバルティスファーマ・筑波研究所  鍵山 直子

  (4)遺伝子改変動物の流通と微生物モニタリング

筑波大学動物実験センター  八神 健一

  (5)我が国のブリーダーの動向

鞄本医科学動物資材研究所  日柳 政彦

2. 教育講演「動物を用いた研究における生命倫理」

(1) 動物福祉:その概念と動物バイオテクノロジーにおける問題点

東京大学名誉教授・日本生物科学研究所理事  山内 一也

(2) 動物実験の管理のあり方〜欧米との比較から

三菱化学生命科学研究所  木勝島 次郎

 

委員会報告

 1.情報委員会

 2.認定委員会

 

 

・平成11年度理事会報告

 平成11年10月13日に熊本大学動物資源開発研究センター内会議室において平成11年度第1回理事会が開催された。副会長の吉川泰弘以下、伊藤豊志雄、浦野徹、笠井憲雪、黒澤努、斎藤徹の各理事と木村透幹事が出席し、前島一淑会長と朱宮正剛監事が欠席した。

議題

1. 会務について

 新理事としての具体的活動が少ないため、会費の徴収は順調であること、会員の勧誘が必要であることなどが話し合われた。

2. 委員会委員の選出

 日本実験動物医学会には下記の5つの委員会がある。新委員の名簿が委員長から提出された。それぞれの委員の氏名のみを紹介する(○は委員長、以下あいうえお順)。

委員会委員の選出

認定委員会委員

○笠井憲雪、安居院高志、有川二郎、浦野徹、黒澤努、朱宮正剛、芹川忠夫、中川照丈、    二宮博義、古川敏紀、毛利資郎、八神健一、吉川泰弘、 

情報委員会委員

○黒澤努、安居院高志、有川二郎、佐藤浩、手塚英夫、中川照丈、松田幸久、松本耕三、毛利資郎、古川敏紀、吉川泰弘、 

教育委員会委員

○吉川泰弘、河村晴次、木内吉寛、斎藤徹、朱宮正剛、局博一、二宮博義、八神健一、

会報編集委員会委員

○伊藤豊志雄、大橋弘明、斎藤徹、 

学術集会委員会委員

○浦野徹、伊藤豊志雄、笠井憲雪、鳥居隆三、町井研士、松田幸久、 

3.今後の委員会活動

認定委員会

平成11年度の認定審査日程と本試験制度移行のために資格審査や試験内容等について討議された。

情報委員会

委員(黒澤と笠井の2名)を11月に米国インディアナポリスで開催されるAALASに参加してもらい、AALAC等との意見交換を行う。

教育委員会

学部教育については獣医学教育の再編成と獣医学の中の実験動物学教育が、卒後教育については実験動物認定医制度発足が、さらに欧米の実験動物学教育のあり方について話し合われた。

 学術集会委員会

第129回日本獣医学会において実験動物医学会の教育セミナーとして、後述のワークショップと教育講演を企画した。

会報編集委員会

会報としてのニュースの情報量については解説を加えるなどして充実を図ること、ならびにニュースの中に日本実験動物医学会としての考え方を明示することなどが話し合われた。

4.2000年〜2001年における学術集会開催について

 「日本実験動物科学技術大会2001」の企画について企画委員会が発足し、その内容の概要が紹介された。

5. ACLAMとの今後の連携について

委員(黒澤と笠井の2名)が11月に米国インディアナポリスで開催されるAALASに参加し、直接連絡をとる。

6. その他

会員の新規獲得について意見が出された。

 

 

日本実験動物医学会のお知らせ

 

第13回日本実験動物医学会教育セミナープログラム

 1.ワークショップ

  2000年4月5日(水) 9:00〜11:30

3. 教育講演

 2000年4月6日(木) 9:00〜11:30

日本実験動物医学会総会

  2000年4月5日(水) 11:30〜12:00

 

 

 

 

 

第13回日本実験動物医学教育セミナー

1.ワークショップ「マウス・ラットにおける微生物モニタリングの国際的ハーモナイ

          ゼーションの動向」

   座長    財団法人実験動物中央研究所  伊藤 豊志雄

熊本大学・動物資源開発研究センター  浦野 徹

(1)微生物モニタリングのハーモナイゼーション

熊本大学・動物資源開発研究センター  浦野 徹

 実験動物の特にマウス・ラットの授受については、近年のヒトゲノム解析プロジェクトの進行による遺伝子改変マウスを用いての解析システムが精力的に行われるようになるに伴い、以前にも増して国内外の動物実験施設や動物生産施設(施設)の間で頻繁に行われるようになってきた。他方、個々の施設で飼育される動物においては、特にマウス・ラットの微生物学的グレードについて以前にも増して高い清浄度が要求されるようになってきた流れを受けて、当センターの例にみられるがごとく遺伝子改変動物を含む全てのマウス・ラットはSPFレベルとしており、そのため、定期的でかつ継続した微生物モニタリングを行いながらの適切な微生物コントロールに基づく飼育管理は非常に重要視されてきた。

 以上のような流れを受けて、マウス・ラットの授受に際しては微生物モニタリング成績の添付が必須となってきたが、ここで俄然問題となってきたのは、個々の施設における微生物モニタリングの項目に違いがあることである。もともとSPFの定義は「特に指定された微生物、寄生虫をもたない動物」という表現にとどまっており、具体的な微生物等の種類については明記されていない。そのため、国内外を通じて個々の施設ごとに検査している微生物等の種類は微妙に異なり、このことが授受に際しての大きな問題点のひとつとして浮上してきたことから、今回のテーマとして「微生物モニタリングのハーモナイゼーション」を取り上げた。本ワークショップを通して、実験動物医学者の立場から、また施設の現場を預かる立場から、本テーマについての問題点を整理し、その問題点を解決するためにめざす方向性についての考え方がまとめられればと願っている。

 

(2)ICLAS、FELASA及びアジアの動向

   財団法人実験動物中央研究所  伊藤 豊志雄

マウスとラットの微生物学的品質、特に供給動物については品質の明示が必要であることは国際的に認識されているものの、検査項目の選定など国毎、地域毎に少しづつ違いがある。最近の遺伝子操作動物の作出やそれら動物を用いた研究の飛躍的増加はその研究グループが一研究所あるいは一国でおさまらず、多国間にまたがったものとならざるを得なくなっている。このような研究には国際的な動物の授受が不可欠であるが、その際に検査項目の違いによる障害が懸念されている。そこで微生物学的品質検査の国際的ハーモナイゼーションが求められ、その取り決めを作るべく話し合いの機会がもたれだしている。その現状を以下に紹介する。

 地域的な実験動物の微生物学的品質についてはヨーロッパにおけるFELASA (Federation of European Laboratory Animal Science Association)の勧告がある。それに対して米国や我が国ではFELASA勧告に対応するものは無い。我が国ではそれほど問題になってはいないが、米国では実験動物の生産業者や検査機関あるいは国の研究機関などがそれぞれ独自に検査項目を選択しており、これら複数の検査機関での検査項目の違いが問題になっている。一方、検査機関の違いによる検査結果の差異は欧米で大きな問題になっており、この問題の解決が急務になっている。

 アジア諸国においては実験動物科学の進展状況が国ごとに大きく異なり、一言で言うことはできない。しかし、複数の国で微生物モニタリングが実施されるようになってきており、これらの国の多くは、欧米のスタイルをそのまま導入するのではなく、国の実状に合わせた取り組みがなされようとしている。

 

(3)製薬会社の国際動向

ノバルティスファーマ・筑波研究所  鍵山 直子

微生物モニタリングは、前臨床試験データの共有化促進の観点から、製薬会社は欠かすことができない。多国籍製薬企業にとって、国際ハーモナイゼーションは社内ハーモナイゼーションでもあるが、それを促進する動物管理の立場から見ると、国や地域で育ったこだわりの微生物検査がハードルになっている感がある。

われわれは、共通の価値観のもとで1996年に始めてこの問題をとりあげたが、検査項目については各部署における選択理由が地域の伝統と連携していることに気づき、社内統一は無理と判断した。対案として最少項目を共有し、localで必要項目を追加する、という方針で合意した。言いかえると、無意味に多項目をラインナップすることは避ける方向をとった。

専門性の要求される検査方法の選択については特に意見はなく、ただし自家検査の精度・特異性をバリデーションするために、参照品の供給体制が確立されるよう望まれた。一方、モニター動物の配置とサンプリングは、施設のレイアウトに合わせて現場サイドで考えるべきこととした。日本国内ではよく話題にのぼるが、その適否で検査結果の重みが変わる。それを海外の製薬企業がどの程度深刻に考えているか疑問を感じた。

国際ハーモナイゼーションをめざしてやりつつあることは、実験動物に関するquality networkの構築である。1999年5月にスペインでICLAS/FELASA meetingの後、Novartisのスイス本社が音頭をとって欧米の製薬企業約10社に呼びかけてスタートした。その中で、日本の微生物モニタリングに対するconcept と expertiseが高く評価されていることを申し添えたい。

 

(4)遺伝子改変動物の流通と微生物モニタリング

筑波大学動物実験センター  八神 健一

  21世紀の重要な研究分野のひとつとしてバイオサイエンスがあげられ、大学や研究機関における遺伝子改変マウスの激増は、こうした研究動向の象徴とも言える。次々に作製される遺伝子改変マウスは人類の作り出した研究用の共有財産となり、世界中の研究者がこれらを相互利用することにより、遺伝子機能の多面的な解析や複数遺伝子の相互作用の解明が可能となる。従って、バイオサイエンスの進展にとって、遺伝子改変マウスの効率的な相互利用と流通が重要な鍵となっている。

 近年、国立大学動物実験施設協議会(国動協)の調査によると、マウスの飼育数は倍増し、その中で遺伝子改変マウスの占める割合は平均 38 %で、 70 %を越える大学が 8 大学にものぼる。国内外の研究者どおしが、少数・多系統・頻繁な相互分与を繰り返し、導入時の検疫やその参考資料としての微生物モニタリング成績の重要性が再認識され、 1999 年に「実験動物の授受に関するガイドライン」がまとめられた。

 大学や研究機関に特有な、相互分与を前提とした微生物モニタリングの国際ハーモナイゼーションには検討課題が多い。その理由は、国、研究機関ごとに微生物モニタリングに関するハード、ソフト両面での違いが多すぎるためであろう。このため、相互分与における微生物感染の問題は、基本的には分与を受ける側の自己責任とする考え方が支配的である。将来、遺伝子改変マウスの国際的な保存・供給体制の充実により、保存・供給施設からの入手がマウスの流通経路として一般化したとき、診断法や検査項目の国際標準化が一気に進展するのではないかと考える。

 

(5)我が国のブリーダーの動向

鞄本医科学動物資材研究所  日柳 政彦

 動物実験精度の一層の向上を図るためには、使用される動物が、遺伝的また微生物学的に十分モニターされ、そのプロファイルが把握されていることが重要である。我が国のブリーダーはこの原則に沿って、各社で定める品質管理の規定に則り、積極的に自主検査を実施している。

微生物モニタリングにおいて、その実施規則の設定に当たってはほとんどのブリーダー

は(社)日本実験動物協会で定めた、検査項目「日動協メニュー」並びに「オプションメニュー」に準拠してその内容を規定している。

ブリーダーにおける微生物モニタリングの導入は1960年代にさかのぼるが、その進展はユーザーのSPF動物使用の拡大に依るところが大きい。検査される項目については、実施される機関により多少の異なりがあったとしても、その基本的な流れは、旧国立予防衛生研究所獣疫部と(財)実験動物中央研究所の2つであった。ブリーダーは依頼するこれら機関によって検査内容に多少の違いを見たが、それはその機関がどんな種類の微生物抗原を持つかに依るところであり、検査項目においての考え方には基本的には差異がなく、そのことからもブリーダー間の検査内容については大きな差異は認められなかった。

時代が下がり、GLPがスタートした以降、医薬品メーカーから動物の品質上の信頼性を確認する手段として、微生物モニタリングの検査成績書の提出が求められるようになった。メーカーの動物管理の現場からブリーダーに対して、各人各様の検査内容に対する要求が出されるに至って、ブリーダー間の検査項目に多少の変化が生じてきた。ユーザーの求めに応じざるを得ない立場で、その上ブリーダー間の競争意識も伴って生じた違いである。

要求がエスカレートする一方の中で、学問的に裏付けられたモニタリングの有り方を検討し、適切な微生物モニタリングの実施とその普及を目指して、(社)日本実験動物協会の設立に伴い、中川雅郎(故人 国立予防衛生研究所)らの手によって、「日動協メニュー」・「オプションメニュー」が策定され、「実験動物の微生物モニタリングマニュアル」(日本実験動物協会編 1988年)が発行された。更に鍵山直子らの手によって、「微生物モニタリングの実施要領とその解説―マウス・ラット編、−モルモット・ウサギ編」(日本実験動物協会編 1991年初版 1997年改訂)が発行され、微生物の感染力と病勢を正しく理解した上で適切なモニタリングを実施するよう、需給者を問わず現場技術者を対象にした技術研修会(日本実験動物協会主催)を実施し、適切な微生物モニタリングの啓蒙を現在に至るまで実施している。

本ワークショップのテーマである「ブリーダー間における微生物モニタリングのハーモナイゼーション」を論じるにおいて、(社)日本実験動物協会で実施している上述各種事業による果実がブリーダー間のハーモナイゼーションと言えるものであろう。従って、本節では、(社)日本実験動物協会がモニタリング普及事業実施に至る経緯とその内容を中心に解説し、ブリーダーにおける微生物モニタリングの現状を紹介する。

国内外の様々な機関で遺伝子操作動物の作出利用が盛んに行なわれるようになった今日、ブリーダーにおいてはこれら動物の受託生産業務が新しい事業として重要な位置を占めつつある。これらの事業を実施するに当たって、依頼者側動物の微生物プロファイルに極めて大きな差があり、ブリーダーがその対応に苦慮している現状においても言及しておきたい。

 

2. 教育講演「動物を用いた研究における生命倫理」

座長  東北大学大学院医学系研究科  笠井 憲雪

 

(1)動物福祉:その概念と動物バイオテクノロジーにおける問題点

東京大学名誉教授・日本生物科学研究所理事  山内 一也

[動物福祉の概念] 生命倫理は医学、生物学の技術革新に伴って1970年代に生まれてきた学際的領域である。医学研究における生命倫理の道徳原理であるヘルシンキ宣言では人とともに動物福祉への配慮が明記されており、この宣言にもとづき国際医学団体協議会は動物実験についての国際原則を1985年に発表した。日本でもこの原則にもとづいた動物実験指針が、主として医学研究の領域で自主的に作成されてきている。動物福祉は実験をはじめさまざまな形で動物を用いる場合、その行為で得られる全体的利益が、動物が堪え忍ぶ苦痛を上回る場合には、動物に不要な苦痛を与えないよう人道的配慮を行うことを前提として、それを認める立場である。この動物福祉の概念は神、人間、動物の間には垂直的かつ不可逆の関係があるとする西欧の宗教的、哲学的背景にもとづいて生まれてきたものである。一方、日本ではその関係は円環的かつ可逆的であり、西欧のような動物福祉の概念が自発的に生まれる背景は存在していなかった。日本では動物福祉は外国から輸入した倫理体系であって、いまだに論理的基盤が不明瞭である。

[動物バイオテクノロジーにおける動物福祉] 遺伝子工学や生殖工学の進展に支えられた動物バイオテクノロジーはトランスジェニック(Tg)家畜を医薬品製造に用いる、いわゆる動物工場、Tgブタを用いた異種移植、さらにこれらの領域への体細胞クローニング技術の応用といった面で進展している。動物バイオテクノロジーは、家畜を実験動物として用いることから、マウスなどの場合よりも複雑な動物福祉の問題を提起している。しかし、日本では技術の推進についての議論のみが先行し、動物福祉の面からの議論は皆無に近い。

 

(2)動物実験の管理のあり方〜欧米との比較から

三菱化学生命科学研究所  木勝島 次郎

【背景】人だけでなく動物を実験研究の対象とする際にも倫理的配慮が必要だということは、現在では国際的に共有された認識である。だがその認識の程度は、国によって違いがある。反対運動が激しく、最も厳しい認識と対応を迫られてきたのは米英だろう。またドイツ、オランダなどもこの問題に熱心だとされている。にもかかわらず近年英、独では、再び動物実験への反対運動が激しさを増している。それに対して日本では、この問題が取り上げられることが、たいへん少なかった。1999年に始まった動管法改正作業でも、実験動物の保護や動物実験の是非は中心課題とされていない。動物実験を巡る環境は、欧米と日本の間で大きな落差を見せているといえる。

【方法・目的】そこでまずこの落差を測るために、欧米と日本の動物実験の管理法令を比較検討する。そしてその背景にあると思われる、動物をめぐる法文化の違いについての研究成果を紹介する。これらを通じて、今後日本がこの問題にどう取り組むべきか、国としてのポリシーを固める論議の参考に供したい。

【考察】現状での欧米との差を考えると、日本でも、生命科学研究における動物実験の位置づけ(必要性と許容範囲、科学的・倫理的正当性、代替法の可能性など)をあらためて確立しておく必要があると思われる。そのうえで日本の現状の中で改めるべき点があればそれを明らかにすべきだろう。欧米でのような公的管理体制が必要でないとするなら、その根拠を内外に示す必要があるのではないだろうか。

 

 

 

 

委員会報告

1.情報委員会

AALAS出席報告

期間:1999年11月6−11日

会場;Indianapolis Convention Center & Hotels

出席者:笠井憲雪、黒澤努、(古川敏紀)

 

背景:1999年5月に行われたICLASにおいてACLAMの会長Dr.C.Abeeから今AALASにおける理事会およびビジネスミーティングにてJCLAMについての解説を依頼された。今後のACLAMとの協調および欧州で準備されているECLAMとの協調についての今後を相談したいとのことであった。熊本の前回理事会にて最終的に笠井、黒澤がJALAMを代表してその解説を行うことを決定した。笠井、黒澤は相談して、理事会での演説を笠井、ビジネスミーティングでの解説を黒澤が担当することとして会に望んだ。

理事会:11月6日現地で笠井、黒澤は最終的に打ち合わせを行い、7日13:00から予定されていた理事会にそなえた。7日13:00、指定のHotel内の一室での理事会に出席した。理事はニュースレターの編集委員長を含め10名程であった。ECLAMからはDr.T.Morrisおよび Dr.F.Homberger(二人ともACLAMの会員でありFELASA内に獣医師の集団を形成し、ECLAMの設立の中心人物である)が出席していて、準備されていた飲み物および昼食をとりながら、JCLAM 30分、ECLAM 30分で解説を行った。笠井はスライドを用いて、JCLAMの認定について、その制度の設立経緯と認定法等の詳細を説明した。ECLAMは最初からJCLAM, ACLAMおよびECLAM間の会員認定の相互認証を目的としていると切り出してわれわれを驚かせた(この点はまだJCLAMとして言い出すのはまだ時期尚早と前日の打ち合わせで相談済みであった)。ECLAMはまず欧州内各国の獣医師資格の相互認証の問題を抱えており、他の医学(獣医学)専門医制度のとのからみもあり、とりあえず言い出しておかねば実験動物医学専門医制度はできないとの認識を示していた。しかし、獣医師資格相互認証の問題に加え、言葉の問題(試験問題をどの言葉で作るのかなど)が絡んでいることから、予断を許さない状況であると思われた。

なごやかな歓談ののち、理事会からは理事の名刺がはいった名刺入れをプレゼントされた。これは名刺交換の時間を節約する上で極めて効果的であった。なお理事会からは10日に予定されているACLAMの国際委員会への出席を要請された。また退席後Dr.T.Morrisとの若干の打ち合わせを行い、10日午前7時から微生物の国際標準策定の会が開催されるので出席されたいとの要請があった。

 ビジネスミーティング:ビジネスミーティングには約150名が出席して和やかな雰囲気で理事会で決定したこと、各委員会の活動報告などが行われ、やがて外国からの客として紹介され、黒澤がわが国の実験動物界の現状さらに理事会用に笠井が準備したスライドを用いてJCLAMの仕組みを解説した。ECLAMからはDr.T.Morrisが概要を説明した。ミーティング終了後もACLAM会員からそれぞれのCollegeについて質問されるなど、雰囲気は極めて良く、今後もつきあっていけるものと感ぜられた。

国際委員会:国際委員会はACLAMの委員として委員長Dr.Donovanの他はDr.T.MorrisおよびDr.K.Lee(韓国出身のACLAM)およびICLAS会長のDr.S.Pakesだけが出席した。客は私と、韓国実験動物学会から3名である。今後のつきあい方の方法についての意見交換があったが、Dr.K.Leeから中国、韓国をのぞいて日本とだけつきあうというのはいかがなものかの意見が出て、JCLAMは韓国の実験動物獣医師と良く調整するようにと要請された。またLIASONを設定して国際委員会の委員長と連絡を取るようにとの要請があった。さらに2000年5月に開催されるACLAMフォーラムに日本からも是非参加して欲しいとの要請があった。退室後直ちに韓国の実験動物学会会長を含む3人の方と今後の日本と韓国との関係について相談したが、韓国では国内で獣医師による専門医を組織する土壌はまだでき

ていないので、できればJCLAMとして韓国の獣医師が認定を受けられるような方策をとってもらえまいかと要請された。この要請については理事会にて是非とも中国のcandidateともに前向きに検討すべきであると考えられた。

 微生物モニタリングの国際標準策定に関するミーテイング:11月10日午前7時から微

生物問題の国際標準の話は欧州および米国の著名な実験動物微生物学者が集まって標記のミーティングがあった。出席者にはDr.J.G.Fox(Helicobacter hepaticusの発見者)、Yale大のDr.R.Jacoby、Columbia  Missouriの, Dr. L.Rileyなどもいた。全部で約25名ばかりの会であった。要するに国際的な実験動物微生物の標準を実験動物医学専門医(獣医師)が策定しなければならないとの趣旨の会であった。地域、専門などを加味したWGを設立する事が決まりわが国からは私が入って6人のWGにて今後の方策を相談することとなった。しかし、なにをどのように標準化するかについてはまだコンセンサスはなく、検査法を標準化するという考え、病原体リストを標準化するという考え、実験動物飼育環境を標準化するという考えなどが入り乱れているものと思われた。国動協の基準がわが国にはすでにあることを私は協調しておいた。なお欧州にはFALASAのrecommendationがあるが米国にはまだ標準化されたものがないという事情も本会設立の裏にあるように感ぜられた。

今後理事会では

1,JCLAMのLIASONの確定

2,具体的なACLAMへの援助要請(試験問題の内容を教えてもらうとか)

3,周辺アジア地域の実験動物関係獣医師組織との交流・対応

4,国際的微生物標準化の会への取り組み

などにつきどのようにするかを諮る必要がある。

 

2.認定委員会からのお知らせ

a. 認定試験

認定委員会では現在、本年度の認定審査を行なっています。明年3月には新認定獣医師が誕生する予定です。さらに本委員会では、認定の暫定制度に替わる本制度の規則作りと、それに伴う試験制度の案を検討しています。暫定制度による審査は来年度をもって終了となります。暫定制度による今後の審査スケジュールは次の通りです。

1999年12月〜2000年3月 第2回目の認定審査

2000年3月25日     第2回目の認定医誕生

2000年11月       第3回目の認定審査申請書受付

2000年12月〜2001年3月 第3回目の認定審査 

2001年3月25日     第3回目の認定医誕生(実質、暫定認定制度終了)

そして本制度の制定と試験実施のスケジュールは次のように考えています。

1999年12月  議論開始

2000年春    総会にて中間報告

2000年秋   秋の学会にて本制度案を会員に提示・議論・具体的試験制度の提示

2001年春    医学会総会にて本制度決定・試験問題等の作成開始

2001年11月〜2002年1月頃  本制度による試験を含む認定審査開始

本制度の規則案(試験制度を含む)について、ご意見がありましたら、下記までメールやファックスでお寄せ下さい。

認定委員長 笠井憲雪

(e-mail: nkasai@mail.cc.tohoku.ac.jp Fax: 022-717-8180)

 

b. 日本獣医師会「専門医養成に関する協議会」の会合に参加

 去る12月18日に日本獣医師会において「獣医関係分野における専門医養成に関する協議会」が開催され、笠井理事(認定委員長)が参加した。これは竹内啓先生が委員長になっている日本獣医師会「獣医師研修指針策定検討会」が召集したもので、本学会のほかに、日本獣医病理学会専門家協会や家畜栄養生理研究会など獣医関係21団体が参加した。この会は正式に発足したわけではなく、今回は関係する団体に専門医や認定医に対する考え方、その取り組み等の情報交換および意見交換するものであった。ただ、日本獣医師会として各学会の専門医・認定医の制度やレベルの整合性をはかり、国際的に認められ得る制度にしたいとの意思があり、このため日本獣医師会が音頭をとって協議会的な組織を作った場合の各学会の参画の可能性を問うものであった。

 議論は(1)卒後臨床研修の必要性(2)継続教育の必要性(3)専門家の認定について、などが話されたが、さらに米国や欧州の制度の紹介や日本獣医師会としての果たす役割等が議論された。また、「専門医」と言う言葉の使い方を慎重にする必要があるむしろ使わない方がよいとか、認定のレベルの問題等が話された。

 参考資料として昨年の本学会の「認定獣医師申請案内」等が配布され、さらに笠井理事が本学会の認定制度についての説明をした。この発表の後に、「本会は獣医師会が協議会組織等を作ったときには、参加することが可能か」と聞かれたが、十分可能性があると答えた。

 次回は年明け・年度内に今度は実際に制度を確立したところや現在検討しているところに限定して集まってもらい、具体的なことについて、議論したいとのことであった。今後とも情報収集という意味でこの種の会合には参加しようと思っているが、この会が正式に発足する場合には改めて本会の参画の是非を理事会ないし総会に諮るつもりである。(文責・笠井)