神経伝達物質受容体・トランスポーターの
発生工学的機能解析と疾患モデルの作製
(WS-20-3)
和田 圭司
(国立精神・神経センター神経研究所)
神経伝達を支える機能的な単位であるシナプスを構成する成分として様々な分子が
同定されているが、なかでも受容体・トランスポーターは神経回路網の発達、機能
維持に関与する重要な分子の一つである。我々のグループでは高次脳機能に密接に
関係する興奮性アミノ酸による神経伝達、あるいは、分子進化的に古く本能、情動
に深く関係する神経ペプチドによる神経伝達の制御機構解明に興味を持って研究を
進めているが、その過程のなかでグリア型グルタミン酸トランスポーター、ボンベ
シン受容体欠損マウスを作製したところ、それぞれのマウスが新しい疾患モデルと
して有用性が高いことを見い出した。グリア型グルタミン酸トランスポーター欠損
マウスではけいれんなど興奮毒性による症状、神経細胞防護作用の減弱を認め、ボ
ンベシン受容体欠損マウスでは肥満・代謝障害、あるいは行動障害を認めた。いず
れも器質的病変が顕著でなく機能性に脳機能が障害されていた。新しい生物学的ツ
ールとしてヒトの精神神経疾患の発症機序を理解し、必要な薬剤を開発していく上
で今後貢献していくだけでなく、神経回路機能の発達、分化、あるいは進化の分子
機構を理解する上でよき礎になることが期待される。


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