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ステートメント(案)

「ライフサイエンスの倫理とガバナンス」の構築に向けて

 現代社会においては、先端科学技術が人々の生活に広範で深遠な影響を与えている。とりわけ、ライフサイエンスにおいては、ゲノム科学、脳科学などの発展により、生命についての理解と技術開発が一体化して急速に進んでいる。こうした営みの成果は、医療や福祉の向上に大きく貢献することが期待される一方で、人間自身を含む生命にさまざまな操作を加えることが可能となり、生命の尊厳に関わる問題も孕(はら)んでいる。さらに、研究の目的や内容が、生命観や人間観などを含む従来の価値体系と軋轢(あつれき)を起こしかねない状況も生まれている。

 したがって、社会との真の共生を実現しながらライフサイエンスの研究・開発を進めるためには、こうした状況について、倫理的・法的・社会的観点を含む多面的な視点からの十分な検討と配慮を行うことが不可欠である。それに加えて、俯瞰的で価値多様的な視点を持ちあわせた研究・開発の新たなガバナンスも必要になっている。具体的には、研究課題の選定、研究資源の配分方法、成果の評価と社会的実践・応用、政策決定のプロセスなどを変革して新しい仕組みを作ることが必要である。

 このような新しいライフサイエンスの倫理とガバナンス構築のためには、科学技術と社会とを架橋するとともに、自然科学と人文・社会科学の協働を進めることが急務である。具体的には、市民や産業界、政策立案者などを含む社会の多様なステークホルダーと研究者とが協働して、研究・開発現場と応用における問題の抽出と対応策の検討を行うことが期待される。

 研究者のコミュニティーにおいては、その構成員は自分が研究者であると同時に社会の一員でもあるという自覚を、これまでにも増して持つ必要がある。この高い自覚を促すために、研究プロセスを透明化する努力とそのための支援を受けられるような研究環境を整備することが求められる。さらに、次世代を担う人たちが新しいガバナンスに参画できるための教育システムの構築も必要である。

 このような問題意識に基づき、「ライフサイエンスの倫理とガバナンス」フォーラム企画委員会は、以下のことを提言する。

  1. ライフサイエンスの倫理とガバナンスについて、自然科学と人文・社会科学の専門家が協働する共通のプラットフォームを構築するために、関連する研究・教育機関、学協会などの間のネットワーク化を図り、情報共有や人材交流を促進する。
  2. 上記ネットワークを活用して、問題の抽出と解決という視点に立って次の活動を展開する。
    ①国内外の研究動向と社会との接点に関する調査分析・予測
    ②社会を構成する広範なステークホルダー間の対話と協働の促進
    ③研究実施体制支援などの政策提言
    ④以上を実践できる人材の育成と活躍できる場の創出

 これらを実現するために、関係者・関係諸機関の積極的な協力を要請する。

「ライフサイエンスの倫理とガバナンス」フォーラム企画委員会
委員長: 札野 順
委員  : 加藤 和人、河原 直人、児玉 聡、小林 傳司、佐倉 統、本田 学、武藤 香織、福士 珠美

事務局: 『第6回 社会技術フォーラム』事務局 (お問合せはこちら)
〒164-0003 東京都中野区東中野4丁目27-37 (株)アドスリー内 TEL:03-5925-2840 FAX:03-5925-2913