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企画趣旨

■製作にあたって
「スティックポスター」は、(株)アクアプラスさんが2006年に発表した、主にコレクション向けのポスターの規格です。
発売以来たいへんな人気を博しており、アニメやゲームのキャラクターを題材としたポスターが多数発売されてきました。
「スティックポスターin羽後町」は、「羽後町」という街の文化財や自然を中心に、きわめてローカルな題材をポスターにしています。これはスティックポスター史上初めてのことです。そんなこともあって、3月11日、「秋田魁新報」に記事が掲載されると、瞬く間に話題が広がりました。
様々な観点から注目を集めることになった、この企画が生まれるまでの経緯を綴っていきたいと思います。

■開発の背景
羽後町では昨年、夏祭り「かがり火天国」の一環として、第1回「かがり美少女イラストコンテスト」を開催しました。
国の重要無形民俗文化財に指定されている「西馬音内盆踊り」を題材にしたイラストを募集するもので、全国から優れた作品が集まりました。
このイベントは町民にたいへん喜ばれたほか、来場したアニメ・イラストファンのみなさんからも高い評価を得ることができました。
イベント後、町民から「イラストを活かして何かグッズを製作して欲しい」という声を多数頂戴しました。その期待に応える形で、今回「スティックポスターin羽後町」の制作を決定するに至りました。

私が目指したのは、「羽後町とイラストの魅力を町民にも、県外の方々にも伝えることができるグッズ」です。
例えば、「西馬音内盆踊り」の絵ハガキやキーホルダーは既に何種類か発売されていますが、購入するのは主に観光客のみなさんで、町民には馴染みが薄いものです。それに、既にあるグッズと同じものを作っても新鮮味がありません。せっかく作るなら、どこの町にもないものを作りたいと思いました。

雑誌を買い込んだところ、アクアプラスさんから「スティックポスター」という商品が発売されていることを知りました。さっそく購入してみると、これがしっくりきました。
コレクション性もさることながら、私が注目したのはその規格です。今までのポスターは大きすぎて、掲示するにも場所をとりましたが、スティックポスターならサイズがコンパクトなので狭いスペースに掲示ができます。商店のドアに貼るにもちょうどよく、観光ポスターにも利用できそうです。あちこちに掲示すれば、町民に見てもらうことができます。
これなら、イラストの魅力を広く伝えるという「かがり美少女」のコンセプトにもぴったりで、作る価値が大いにあると思いました。

■制作が決まるまで
大江尚征町長にポスターの現物を持っていって相談したところ、「とても面白い。出来上がったら僕も見たいから、ぜひ作ってください」とGOサインが出ました。
さっそく、大阪のアクアプラスさんを訪問し、許可をいただきました。その後、ビジュアルアーツさんや、オメガビジョンさんなどのゲームメーカーを訪問して、協力いただけるようお願いしました。作家さんたちも「企画が面白いからぜひ協力したい」と、次々に賛同してくださいました。

さて、ゲームメーカーや作家さんの協力をいただくまでは成功したのですが、私は当時大学生でしたので、満足な資金があるはずがありません。観光物産協会も、グッズを単独でつくるだけのお金は充分にないといいます。
そもそもスティックポスターは従来のポスターと異なる要素が多いため、肝心かなめの印刷や販売の方法が難しかったのです。そんなこともあって、一時は企画が暗礁に乗り上げました。

私は諦めきれなかったため、何度かアルバイトをしてお付き合いがあった東京中野の出版社アドスリーにお願いに行くことにしました。
アドスリーは生命科学や理工系の出版社で、もちろん美少女ゲームやイラストの本は出版したことはありません。けれども、学術関係のシンポジウムのためにポスターは何度も作成しており、出版社ならではのノウハウがありました。アドスリーと協力することで、よりよいものができると思ったのです。
前代未聞のスティックポスターの制作を引き受けてくれるのか・・・ 不安もありました。しかし、社長は一瞬その内容に戸惑いながらもOKをくれたのです。
こうして、観光物産協会とアドスリーが協力してスティックポスターを制作していくことが決まりました。

■地域の文化財を発掘する
文化財といえば世界遺産に登録されているような作品が思い浮かびます。その一方で、我々の身近にある文化財に目を向けることは少なかったのではないでしょうか。
私は以前から、地域に密着した文化財の保存に強い関心を抱いています。
郷土への愛着は地域の歴史を知ることからはじまります。歴史を語ってくれるのが文化財です。
「スティックポスターin羽後町」では、その大切さを全国に訴えていきたいと考えました。

羽後町の観光ポスターでは15万人を動員する「西馬音内盆踊り」がメインになることが多く、それ以外の文化財が取り上げられることが少なかったといえます。しかしながら「三輪神社」や「鈴木家」なども町を象徴する文化財ですから、題材にできないものだろうかと思いました。
町の名所や文化財を満遍なく選び、子供にも親しみやすいように制作された「羽後町郷土かるた」は、絵札のイラストは町内の子供たちから公募され、各々の個性が溢れていてたいへん魅力的です。このアイディアを、ポスターに応用しました。
16種類を準備することが基本のスティックポスターなら、様々な文化財を盛り込むことができます。「郷土かるた」のように、全種類別々のイラストレーターが担当することで、集めて鑑賞する楽しみが生まれます。

「郷土かるた」が現代風にアレンジされ、「スティックポスター」へとつながりました。このように、先人が取り組んだ企画から学ぶことは多く、文化財を保存するのも、「過去から学んで未来に活かしていくため」だと思います。

■若者にイラストを見る機会を
私が考える「町づくり」は「人づくり」であり、「地元の人材を育成すること」にこそ、地域の未来を拓く鍵があると考えています。
秋田県はマンガを活かした地域振興が盛んです。しかし、その割にはアニメの放映数が全国的にみても極めて少なく、グッズを扱うショップも少なく、同人誌即売会もほとんど開催されておりませんから、若者が直にイラストに触れる機会が少ないという現実があります。

横手市出身で漫画家の矢口高雄さんがエッセイのなかで、大原美術館(岡山県倉敷市)を創設した大原孫三郎と画家の児島虎次郎のエピソードを書いています。
大原が「児島さん、絵がうまくなる秘訣はなにかね」と聞くと、児島は即座に「いい絵をたくさん観ることです」と答えたそうです。
児島はさらに続けました。「私は大原さんのおかげでヨーロッパ中のいい絵をたくさん観て参りました。そして、その度にこれから後に続く日本の若き絵描き志望の人たちに、どうにかしてこんな素晴らしい絵を観せることが出来ないものか、と考えてきました」 大原はその言葉を聞いて、優れた絵を集めた美術館を開設しようと思い立ったといいます。 ※「まんが美術館通信2007年秋・冬号」から引用。

私は「かがり美少女イラストコンテスト」で、若者の創作発表の場をつくりました。それにプラスして、良い絵をたくさん観る機会をつくることが、未来のクリエイターを育成する鍵になるのではないだろうかと考えました。
そのためにも、ただ売って終わるだけではなく、プラスアルファ、購入した若者の創作意欲を刺激するようなグッズをつくることを目指しました。
「かがり美少女」を開催して、羽後町にもイラストに関心がある若者がたくさんいることがわかりました。彼らがイラストを描き続け、やがては第一線で活躍する作家になってくれれば、これほど素晴らしいことはありません。
また、仮にプロになれなかったとしても、職場のポップやチラシなど、様々な場面でイラストの腕を振るってほしいと思います。小さなデザインの積み重ねが、地方文化の発展に大きく貢献するのです。

■中央と地方のプロの技が融合
「スティックポスターin羽後町」のイラストは、すべてイラストレーターのみなさんの描き下ろしです。羽後町のイメージを自由に膨らませていただき、地域色豊かな、本当に素晴らしい作品を描いていただきました。
突然の申し出を快諾してくださり、忙しい合間を縫って作品を描き下ろしてくださったみなさんに、心から感謝したいと思います。そして、作家さんの方から羽後町のために素晴らしいアイディアをいくつも提案してくださり、これから先も楽しみになってきました。
秋田公立美術工芸短期大学の学長を務めた石川好氏は、「外からの眼」の重要性を訴えていますが、今回の企画が、保守的と評される秋田に新しい風を吹き込むことになればと期待しています。

また、地元のプロフェッショナルが参加していることも忘れてはいけません。箱のデザインは藍染め作家の縄野三女さんに、ポスターのロゴは町歴史民俗資料館館長で篆刻家の増澤土龍さんに、解説文は秋田県考古学協会会長で町立図書館館長の鈴木俊男さんに依頼しています。
中央の第一線で活躍するプロの技はもちろん、地元のプロの技も感じて欲しい。細部に至るまで私たちの願いが込められています。

■自分の好きなことをみんなで楽しむ
「町づくり」というと、観光客を集めて、地域経済を活性化させることに重点を置いているところがほとんどではないでしょうか。
確かに、それは重要なことです。地方の疲弊と過疎化の進行は深刻な社会問題ですし、羽後町も例外ではありません。しかし、私はそれだけが町づくりであるとは思いません。
全国の事例をみると、行政や大企業に押し付けられて進められている町づくりが多数見受けられます。流行に乗ってお金を稼ごうと奮闘している例も目立ちます。しかし、その多くが長続きしていません。興味がないことに無理をして取り組んでいたり、お金儲けが目的になってしまうと、ちょっとしたアクシデントや、客足が鈍っただけで継続する気がなくなってしまうのでしょう。
私の考える町づくりのもう1つのコンセプトは、「自分の好きなことで地域に貢献できる道はないか考えてみること」です。みんなを巻き込んで楽しむのです。
主催者が楽しんでいないイベントや、気合いを入れていないグッズを、来場者が良いと思うわけがありません。自分の好きなことならやる気がでますし、仕上げにもこだわりますから、結果として良いものができるはずです。

羽後町在住で、無類の音楽好きである矢野洋品店の矢野栄太郎さんは、鼓童や上々颱風と交流を行い、ライブを成功させてきました。20年前には音楽グループ「北の盆」を立ち上げ、ギターやシンセサイザーを使って西馬音内盆踊りのお囃子にアレンジを加えるなど、革新的な活動を続けてきました。
矢野さんは音楽で、私はイラストで、各々の得意な分野で地域のために貢献する道を探っています。矢野さんは朝市で定期的に路上ライブを行っていこうと考えていますし、友人の音楽家を町に招待して、文化交流を進めていく構想も練っているようです。 20年以上続いている羽後町のイベント「ゆきとぴあ七曲」や「うご牛まつり」は、町の若き青年たちが宴会の席でアイディアを出し合って生まれたのだそうです。自分たちが楽しむために始めたことが、いつの間にか町を巻き込んだ一大イベントに発展し、町外に知られるようになったのです。
何とも素敵な話です。先人たちは、町づくりは悩みながら始めるのではなく、もっと気軽に取り組んでもいいのだということを教えてくれました。私も、自分のできることから始めていきたいと思います。

■地方だからこそできること
羽後町は、平成の大合併に加わらずに独立の道を歩むことを、県内で真っ先に宣言した町です。町の規模が大きくならずに済んだため、関係者とも意見交換がしやすい環境といえます。町長や関係者も気さくで、町民との距離が近く、いつでも会いにいけます。ローカルな自治体ならではのメリットです。
美少女イラストに偏見を持たない人たちが多いことも良かったといえます。私は美少女キャラほど「かわいい」「めんこい」と愛されるイラストは他にないと思っています。ところが、「萌え」「秋葉原」「オタク」のような言葉がくっつけば、一気に「卑猥」「児童ポルノ」「キモイ」という評価に変わってしまうのです。不思議なものです。
羽後町が合併に加わらず独立の道を歩むことを決めたことや、純粋な目でイラストを評価してくれる町民の理解があったからこそ、この企画を進めることができたのだと思っています。
マスコミは、美少女イラストを一部の人たちの間でしか受けないように報じています(その方が面白おかしく番組を編集できるからだと思いますが)。しかし、実際はそうではありません。幅広い世代に、広く支持されるものなのです。アニメファンのなかにも、自分たちの文化は一般の方々には受け入れられないと感じている人が多いようですが、もっと自信を持ってもいいのではないかと私は思います。
「地方には何もない」と言う若者は多いですが、ここは逆転の発想が大事です。何もないからこそ、田舎だからこそ、できることだってあるのです。そこに気づくかどうかで、地方の未来は変わってくるのではないでしょうか。今こそ、若者の発想力と実行力が試されるときだと思います。

「スティックポスターin羽後町」が、町民にも、アニメファンのみなさんにも評価してもらえれば、私はとても嬉しいです。 何を隠そう、一番完成を楽しみにしているのは私自身なのですが(笑)。

山内貴範

 

 

 

 

 

 

 

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