大学等における放射線安全管理Q&A
はしがき
大学等の教育・研究環境は近年激動の様相を示している。その中にあって、放射性同位元素等の使用に伴う安全管理は、省庁再編や法令改正があったばかりということもあって、初心者にとってはもとより、ベテランであるはずの放射線取扱主任者や放射線安全管理担当者にとってもとまどうことが多いと見られる。
多くの研究分野で、日常的に便利に使われている放射性同位元素等は、もはや他の多くの手段と同様、あまりにも普通の研究手段となっているように思える。そのような状況で、ついおろそかになりがちの放射線安全管理について、わかりやすい解説が手元にあれば便利であろう。
そのような考慮の下に、大学等放射線施設協議会ではこれまでに、「大学等における放射線安全管理の実際」、「同増補版」、「大学等における放射線安全管理の要点」を刊行し、安全管理に携わる人たちにはもちろん、実際に放射線作業を大学等の現場で行う人たち、また放射線施設の運営責任者や事務系・技術系の関係者にも役に立つような情報や考え方を示してきた。
最近の大学等における放射線安全管理の状況を見聞すると、こまごました、そして必ずしも系統的でない質問・疑問が、放射線取扱主任者や安全管理担当者、それに取扱者、いわゆる放射線業務従事者の間から、しばしば発せられることが多くなって来ているようである。これに応えるものとして、上記のような比較的系統的にまとめた刊行物に加えて、いわゆるQ&A方式の解説書を刊行することを計画したのである。
法令が複雑で安全取扱の手続きが面倒だとして、この便利で的確な手段を避けて、他の代替法を選ぶことも多いようであるが、放射性同位元素等における高感度性、正確さ、迅速性などを考えれば、多くの研究分野での利用が続き、まだまだ新しい利用法や研究対象への適用も進むと考えられる。そのような見通しが間違っていないとすれば、安全取扱や安全管理のノウハウをスマートに生かし、この他にない特徴を持った研究手段の可能性を十分に引き出すべきであろう。そのためのささやかな助けとなるような情報・知識をこの書物に盛り込んだつもりである。
内容については執筆者と編集委員とで討議を重ね、また素稿は関係省庁の担当官や各方面の専門家にも検討を依頼し、記述の妥当性を追求した。ただし、できあがりについては、われわれ編集委員会に責任があることは言うまでもない。本書が大学等の研究教育の場にあって、存分に活用されることを願っている。
最後に原稿の素案の段階で検討して頂いた各関係省庁の皆様方、ならびに社団法人日本アイソトープ協会の該当分野担当の専門家の方々に深甚の謝意を表します。
平成14年8月
「大学等における放射線安全管理Q&A」編集委員会
編集委員一同
大学等放射線施設協議会
「大学等における放射線安全管理Q&A」
編集委員会
委員
栗原紀夫 (委員長)京都大学名誉教授
中村尚司 東北大学大学院工学研究科教授
西澤邦秀 名古屋大学アイソトープ総合センター長
巻出義紘 東京大学アイソトープ総合センター教授
森 厚文 金沢大学アイソトープ総合センター長
森川尚威 元東京大学アイソトープ総合センター長
執筆者
遠藤正志(東京大学) 栗原紀夫(京都大学) 柴和弘(金沢大学)
中村尚司(東北大学) 西澤邦秀(名古屋大学) 巻出義紘(東京大学)
森厚文(金沢大学) 森川尚威(東京大学)
用語・略語等について
法令に関係する文章中では、なるべく法令用語を用いましたが、その他の文中では必ずしも法令用語ではなく、たとえば、「放射性同位元素」を「RI」と記すなど、慣用語・省略語を適宜使用しました。
法令名については、多くの箇所で次のような略称を用いました。
「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」→「放射線障害防止法」または単に「法律」;また多くの箇所で、同施行令については、単に「施行令」;同施行規則については、単に「施行規則」と記しました。
その他の略語としては、放射線業務従事者を「業務従事者」あるいは「取扱者」、放射線障害予防規定を「予防規定」などとして用いた箇所があります。
それぞれの回答において、詳細な説明をこれまで当協議会出版のテキスト引用で補っている部分では、そのテキスト書名を次のように省略しました。
「'94大学等における放射線安全管理の実際」→「安全管理の実際」「'96大学等における放射線安全管理の実際(増補版)」→「安全管理の実際(増補版)」「大学等における放射線安全管理の要点」→「安全管理の要点」これらのテキストのうち、'94版および'96版の「大学等における放射線安全管理の実際」はいずれも品切ですので、
本書を使用する際の便利さを考慮して合本とし、利用に際しての<注意事項>を記載した翻刻版を刊行しました。本書とともに活用することが望まれます。
また、本書の各々の回答文中に、引用されている「A○○−○○」と記載されている用語、たとえば、「(A6-9を参照)」は、本書の「第6章の回答A6-9」の内容を参照することを指します。
なお、目次の各質問事項の頁数の前にその内容の見だし語が記されています。この見だし語により、迅速に必要事項を、また全章にまたがる関係事項を検索できます。
Topページへ |
アドスリーの出版物のTopページへ
|
戻る
A D T H R E E H O M E P A G E