●発表テーマの概要
日本では、がんと同様に多くの人々が、動脈硬化性の病気で亡くなっています。この病気がどのようにして起こるのか、そしてそもそも血管はどのようにして作られるのか、が明らかにされ、それにより細胞や遺伝子を使った新しい方法が生まれつつあります。これらの最新の情報を専門家が参加者の皆さんにもわかりやすく解説します。
●開催趣旨
私たち血管研究者は、この4年間にわたって、動脈硬化の仕組みを研究してきました。動脈硬化は、狭心症、心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症(ASO)、脳血管障害、腎不全などの原因となり、しばしばヒトの生命を脅かす血管病です。これら動脈硬化性の病気は、癌と並び日本人の死因の主要な部分を占めてます。動脈硬化は、正常な血管にいろいろな刺激が加わり、血管がそれに対して様々な反応を繰り返しながら、知らず知らずのうちに進行するものです。例えば、水道管を考えてみると、長い間にわたって酸化ストレスを受けた水道管は、その主成分である鉄が“サビ”てぼろぼろになり、やがて水圧の強いところで破裂することがあります。それと同じように血管も、喫煙、高血圧、高脂血症、糖尿病などにさらされ続けると障害を受けます。初めはその障害を元に戻そうと反応しますが、やがて刺激の方が強すぎてもはや修復が不可能になってしまいます。これが動脈硬化なのです。いろいろな刺激(喫煙、高血圧、高脂血症、糖尿病)に対して、血管はどのように反応するのか?そのような刺激に対し、血管を構成するどのような細胞がどのように反応するのか?それが分子レベルで解明されれば、それを防ぐ方策を開発することができるはずです。また、血管が形成される“しくみ”がわかり、その制御が可能になれば、破壊された血管を再生させることも夢ではないはずです。既にそのような目的で、細胞や遺伝子を用いた新しい治療法が開発されつつあります。昨年度には、これらの研究成果を一般に公表する目的で、東京にて公開シンポジウムを開催したところ、多くの参加者を集め好評を博しました。今回の企画は、急速な発展を続けるこの領域の更なる最新の知見と、これらの研究成果を基にした最新の臨床応用も含めて、皆様にわかりやすく、その専門家から解説いただくことを目的としています。多方面からの多くの参加者を期待しています。
第17回「大学と科学」公開シンポジウム