ナノ構造を光で記録する
入江 正浩 九大院工教授
インターネットを通じて大量の情報が世界中を一瞬に飛び交う情報化社会を迎え、莫大な量の情報をいかに蓄えるかが重要な課題となっています。今の所、情報記録は長い伝統に支えられた磁気記録が主流ですが、可搬性のある光メモリも次第に伸びてきています。ここでは、光メモリの記録容量、密度を飛躍的に向上させると期待されるフォトンモード分子光メモリ、特に3次元記録、近接場記録、それと究極の光メモリである単一分子光記録を紹介します。
【用語解説】
フォトクロミック分子:
光を受けることにより、分子がその分子量を変えることなく、その結合様式を変え、色の異なる別の構造の異性体へ変換することは、フォトクロミズムと呼ばれ、その機能をもった分子は、フォトクロミック分子と総称される。光生成した異性体が、元の構造へ暗黒中においても戻る分子と、光を受けない限りもどらない分子とがあり、前者は調光材料へ、後者は光メモリ、あるいは光スイッチ素子へ応用されている。現在では、繰り返し耐久性、保存安定性、高速応答性、高感度性を兼ね備えた分子が得られるようになっている。
フォトンモード記録:
これまでの光メモリは、いずれも光エネルギーを記録媒体上で一旦熱エネルギーに変換して物性の熱変化を利用して記録している。これらは、ヒートモード記録と呼ばれる。それに対し、光エネルギーをそのまま光反応に用いて物性変化を誘起して記録する方式は、フォトンモード記録と呼ばれる。フォトンモード記録は、高感度、高速記録が可能、熱拡散、物質移動を伴わないため微細スポット形成が可能、光の特性を利用し多重記録が可能などの特徴をもっており、将来の光記録方式として期待されている。
第17回「大学と科学」公開シンポジウム