NPO「災害から文化財を守る会」
地震・火災
 阪神淡路大震災 -1995.1.17-

 1995年1月17日に兵庫県南部地震が起こりました。この地震では6400名の人名が失われるとともに、直接被害が約10兆円、経済活動の低下などの間接被害が約10兆円と見積もられています。これは日本の国家予算の約1/4に相当します。千人単位の人命が失われたのは1948年の福井地震以来のことでした。

 神戸の地震による京都の被害

  このような大災害ではありましたが、これは地震としては東海地震や、南海地震のような巨大地震ではなく、規模としては一桁小さい地震でした。しかし、都市の直下で起こったからあのような災害になったのです。したがって被害を受けた地域は甚大な被害となりましたが、影響を受けた範囲は限定されていました。
 京都は被災地域から50-60kmも離れているために、左の表のように軽微な被害で済みました。しかし注目して頂きたいのは二つのお寺の消火施設の機能が失われたことです。

 神戸地震火災

 神戸の地震では多くの地点で火災が発生しました。出火件数の総数は285に及んでおり火災による死者数は559人でした。
 このような火災は必ずしも同時に起こったものばかりではありませんが、174件は朝の10時までに起こっているのです。まさに同時多発的に発生しているのです。
 神戸の地震で明らかなように、大きな災害になるような地震に際しては、火災は同時多考えておかねばなりません。


http://www.warp.or.jp/~muraoka/page12/page12.html
 戦前からの木造家屋の割合

 火災に弱いのは木造家屋でしょうが、特に戦前からあるような古い家屋は決して火災に強いとは言えないでしょう。
 神戸市の場合戦前から残っている木造家屋は約7%です。神戸は戦災に遭ったから古い家屋は比較的少なかったのでしょう。
 これに反して、京都は戦災を受けなかったこともあり、この数字は左の表のように約16%ですが、古い町並みの多い東山区ではこの数字は2倍近くになります。 
 言い換えると京都の古い地域では三軒に一軒は戦前からの古い、そして耐火性に富むとは思われない木造家屋なのです。
 神戸と同じような割合で出火が起これば、京都でははるかに大変な火災になるであろうことが容易に推測されます。

 福井地震による火災 -1948-

 1948年(昭和23年)に起こった福井地震の後の福井の町の写真です。まだ、遠くでは煙が上がっています。人家がまだまばらだったのでしょうか、遠くは焼け止まっていますが、写真の手前の家屋の多かったと思われるところは、まさしく灰だけになっています。
 当時の福井の街に比べて、今の京都が耐火性に富んでいるといえるでしょうか。京都の中心街の鉄筋コンクリートのビルの多いところでは、全てが焼き尽くされることはないでしょうが、古くからの文化財が多く残っている地域では、福井の場合と同様な事が起きると考えておかねばなりません。

天明の大火 -1788-

 天明の大火(1788)は鴨川畔の宮川町の団栗橋付近から始まり、京都では応仁の乱(1467)以来の大火となりました。市街の約80%、200余の神社と900余の寺院が焼失したと伝えられています。

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