パイロットプロジェクトの一つである千本釈迦堂は通称であって、大報恩寺が本名です。このお寺の本堂は1227年に建立されましたが、1456年の応仁の乱にも燃えずに残りました。京都では最古の木造建造物であり、国宝に指定されています。
 このお寺には本堂のほかにも仏像などの国宝や重要文化財を多く擁していますが、それらは耐火性のある収蔵庫に保管されていることから、地震時に周辺で火事が起こったとしても、比較的安全であろうと考えられています。
 千本釈迦堂の場合の問題点は、境内が狭く本堂のすぐ近くまで民家が迫っていることです。このように人家が密集している地域では、周辺の色々な場所で出火が起こるであろうし、それが本堂に及ぶであろうことも容易に推察されます。
 したがって、千本釈迦堂では、境内の周りに何らかの延焼遮断のための方策を講じなければなりません。方策としてはさまざまなものが考えられますが、技術的な可能性や必要経費との関係も勘案する必要があり、こうした点について検討を進めています。