全国学校図書館協議会選定図書
フィールドワーク30年。日本のツキノワグマ研究の第一人者である著者が、ツキノワグマと人間との共生を祈念してまとめました。日本においては害獣として駆除されてしまったり、外国では臓器の一部が高く売買されているため密猟の対象になったりしているツキノワグマですが、本当の姿というのはまだよく解明されていません。
豊かな自然の中でしか棲息できない、この森の住者の姿を100枚余の写真、20枚余のイラストなどで紹介。また著者がツキノワグマと実際に出会った際のエピソードなどが豊富に盛り込まれています。「クマは森なり」を信条とする著者が抱く、ツキノワグマへの情熱がこの1冊に詰まっています。
米田 一彦
(NPO日本ツキノワグマ研究所理事長)
目 次
ツキノワグマエピソード
ツキノワグマが穴から出てきたこと
ツキノワグマが首をかしげたこと
ツキノワグマ1頭が2頭になること
ツキノワグマが人を避けたこと
ツキノワグマを驚かせたこと
ツキノワグマが死んだこと
ツキノワグマに導かれたこと
ツキノワグマと越冬しそこなったこと
ツキノワグマのフィールドノート
●ツキノワグマの四季
春-暮らし/クマ狩り/マタギ(コラム)
夏-暮らし/マーキング/子別れと交尾
秋-暮らし/出没/クマ防除法(コラム)
冬-暮らし/冬ごもり(コラム)/出産
●ツキノワグマのフィールドへ
意識調査/痕跡調査・野外での食性調査・足跡・越冬跡
・爪あと・食害跡・ふんの採集・クマ棚
定点観測/テレメトリー調査 ・方法・自動方探方式・飛行機
・移動距離・行動圏・アクトグラム・活動状況
ツキノワグマ データファイル
●ツキノワグマの身体検査
準備/麻酔/身体検査
・身長 ・体重 ・頭長 ・頭幅 ・胸囲、胴
・首囲 ・手足のひら ・体高 ・耳長 ・月の輪の形
・雄雌の別-陰茎 ・古傷の有無 ・寄生虫の有無 ・毛の長さ
・乳頭 ・呼吸・脈拍・体温 ・年齢測定・血液採取
・身体検査が終わったら/放獣
ツキノワグマ ディテールファイル
●ツキノワグマの生理的・形態的特徴
・骨格 ・内臓 ・歯 ・舌 ・手足 ・爪 ・目 ・耳 ・鼻
・体臭 ・脂肪 ・尿 ・ふん ・走る ・泳ぐ ・咬む ・登る
●ツキノワグマの戸籍調査
・クマの先祖-クマ類の進化・クマの所属・クマの種類
・クマの分布・日本にいるクマ ・クマの本名 ・クマの和名・分布(日本)
ツキノワグマに会いたい
トラッキング/ウォッチング-心得/クマに直接会わないための基本的な11カ条/クマに直接会わないための準備
・クマ撃退スプレー ・鈴、ラジオ、笛など-音のするもの
・キャンプ道具 ・観察道具
それでもクマに出くわしたらどうする
第1段階/クマに出くわした
第2段階/排除のために近づいてきた場合
第3段階/さらに近づいてきた場合
第4段階/もう逃げることはできず、襲われることが確実な場合
季節別ウォッチングの場所/提言/一つの手段-奥山研究機関・団体/今回参考にした資料/一口メモ