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アニマルマネジメント ―動物管理・実験技術と最新ガイドラインの運用―

アニマルマネジメント ―動物管理・実験技術と最新ガイドラインの運用―

商品コード: ad10017

著者: 笠井 一弘 監修: 大和田 一雄

発行日: 2007年7月15日
判型: A5判
頁数: 301ページ
書籍コード: ISBN 978-4-900659-81-0 C3045
定価:2,700円 (本体価格:2,500円)

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【教科書採用をご検討の先生方へ】
採用をご検討いただけます際には、試読を御受付いたします。
本書は、マウス・ラットを取り扱う実験動物技術者のため、および動物実験を行う担当者のために作業の基本、実験の基本について注意点などを含めて述べた。 本書が実験動物の管理や動物実験に携わる技術者や研究者にとって、動物福祉に配慮した科学的に適正な動物実験実施のための道しるべとなることを願っている。 2014年5月 第2版発行

内容抜粋
(震災時の実験動物施設での対応をまとめました。)

IV. 緊急時の対応

(4) 地震による動物施設/設備の破損および動物飼育の維持などの対応

地震災害発生時の被害を最小限にし、災害からの復旧を速やかに実施できる体制を整えることを目的とする。

  1. 動物施設利用者の対応

    1. 身体の安全確保を行い、災害規模が小さければ初期消火等を行う。
    2. 実験中の動物への対応
      1. 災害発生時には動物が飼育室あるいは実験室の外に逃亡しないよう万全を期す。
      2. 実験中の小動物はケージに収容し、床あるいは飼育棚に戻す。
    3. 使用中の機器への対応
      運転を緊急停止する。
    4. 使用中の薬晶への対応
      落下しないよう床に置く等の対処をする。
    5. ガス・電気・水道への対応
      ただちに使用を中止し、元栓等を閉める。
    6. エレベーター使用中の対応
      1. ただちに近くの階に停止させ脱出する。
      2. 脱出困難な場合は非常ボタジを押してエレベーター管理会社に連絡する。
    7. 飼育室・実験室からの脱出
      脱出時には動物の逃亡がないよう必す"扉を閉める
    8. 災害発生の通報
      1. 平日の勤務時間
        1. 同一階に大声で事態を知らせる。
        2. 動物管理責任者に連絡する(内線電話が使用不能の場合は階段を使用して知らせる)。
      2. 休日の勤務時間
        大声で同一階にいる人々に知らせる。
      3. 勤務時間外
        緊急連絡網で連絡する。
    9. 動物実験施設外への脱出
      1. 近くの非常口あるいは階段を使用して脱出する。
      2. 脱出時には開けた扉は必す閉める。
      3. エレベーターは使用しない。
        ≪建物がゆがむような地震では、扉が聞かなくなった例がある≫
    10. 動物管理スタッフへの状況報告
      後日、実験中の動物に対する対応および脱出経路について報告する。
    11. 災害後の機器の点検
      1. 建物の安全確認後、動物施設内の機器を点検する。
      2. 動物施設内の整備等の理由により、機器の持ち出しが必要な場合は、すみやかに施設外ヘ出す。
    12. 災害後の動物の確認と安楽死
      1. 建物の安全確認後、災害時に放置した実験中の動物の状態について確認し、動物管理スタッフと対処を相談する。
      2. 災害の規模が大きく全動物を適正に維持することが困難と判断された場合、動物管理と協議の上、動物使用者が実験動物を安楽死処置する。
    13. その他
      1. 夜間動物実験施設を使用する場合は、停電を想定して、懐中電灯等を用意する。
      2. 災害時には、各自で必要と考えられる措置を実施し、後日動物管理責任者に連絡する。
  2. 動物管理スタッフの対応

    1. 地震発生当日から一週間以内におこなうべきこと
      発生した地震災害の規模によっては、地震発生当日にすべてに対して対応することが困難な場合も想定できるので、対応可能な事項から順次実施する。
      1. 出勤できた動物管理スタッフは動物管理責任者と連絡をとる。被害状況が収拾不可能と思われでも、危険がないならば、連絡がとれるまで、施設内あるいは施設近くで待機する。
      2. 動物管理責任者の指示に従い、以下の対応を行う。
      3. 動物管理責任者は建物倒壊の危険等を考慮して指示を出す。この場合ヘルメット等を着用できるよう準備しておくことが肝要である。
      4. 施設全体の被害状況の概要把握
      5. 安全な場所に対策本部を設置
        一つの作業が終了するたびに対策本部に集合し、全体作業の進行状況を把握しながら、次の作業の指示を出すことが効果的である。
        ≪動物施設以外の上部組織に対策本部が設置された場合はそちらに機能を移行する≫
      6. 動物管理スタッフの安否および出勤の可否の確認電話にて動物管理スタッフの安否および出勤の可否の確認をとる。公衆電話は、他の電話が不通の際にも使用できる場合がある。会社周辺の公衆電話が使用不能な場合においても、被災害地周辺の公衆電話が使用可能である場合がある。
      7. 飼育室外への動物の逃亡の有無の確認
        逃亡している場合には、ただちに出勤者全員に連絡し、逃亡動物をケージに収容宮る努力をする。捕獲動物は、安楽死処分する。
        ≪状況によっては保健所に連絡する≫
        動物が逃亡した飼育室の状況を確認し、逃亡防止策を請する。とくに遺伝子改変動物が逃亡したときは、速やかに監督官庁に報告する。
      8. 飼育室内に逃亡動物がいる場合は動物を収容する。
        捕獲動物は、安楽死処分する。
      9. 水道、電気、壇話、ガス、エレベータ一、空調等の点検ガス、水道については一旦元栓を閉じること。
        ガス栓を開くときには、ガス漏れが無いことを確認すること。
        ≪ガス供給後、あるいは電気供給後に火災が発生した例がある≫
        また、エレベーターの運転再開は資材の搬入・運搬に重要である。ただし、余震発生時にエレベーターが停止することがあるので、人は使用しない。
      10. 飼育器材や衛生器材を保管している物品庫および飼料庫の確認
        使用可能な物資等の数を確認し、必要な物資等を取り出せる状況にする。なお、定位置への整理は後日でかまわない。
      11. 給餌・給水ができる体制の確立状況がきわめて厳しい場合には、動物の飲用水の確保についてのみ地震発生当日に努力する。
        1. 飼育装置等が移動している場合には、飼育装置を正規の位置に戻す。地震発生当日は、給餌・給水ができる状態および安全な状態を確保することを目的とした移動にとどめる。位置の調整等は後日でかまわない。
        2. 動物用の飲用水の確保
          地震発生時には貯水槽等に損傷が発生する場合があると同時に、貯水槽等に異常がなくとも貯配管、揚水ポジプ等に異常がある場合もあるため、これら全てを確認する必要がある。いすれにも異常がある場合には、他の貯水槽等からの飲用水の確保が必要となる。この場合、水を運搬するためのポリタンクや給水瓶等に水を注ぐためのオイルジョッキのようなものが有用である。(あらかじめ用意しておくと良い)
        3. 衛生処理用水の確保
          飼育装置の汚物処理、飼育機器、飼育棚、飼育室、通路などの清掃・消毒用の雑用水の確保も重要である。届けられた雑用水を貯水するためには、大型のポリベールが有効である。動物汚物用の大型ポリベールの転用も可能とする。
        4. 飼料、床敷等の在庫確認を実施し、必要に応じて発注を行う。とくに、通常滅菌飼料を用いている場合には、滅菌飼料等に配慮する必要がある。
      12. 動物屍体収置室の確認
      13. 飼育動物の安楽死処分についての判断動物施設および動物棟周辺の被災状況および復旧の見通しを確認し、動物の健康管理や適切な飼育管理が困難になると予想される場合には、飼育動物の段階的な安楽死を研究所長等と協議する。導入困難な特殊な系統動物を保護する意昧においても、やむを得ない場合の飼育動物の段階的安楽死は必要である。
      14. 緊急対策本部が発動しているときは本部への状況報告地震発生当日あるいは翌日には一報を入れる。
      15. 動物施設利用者への通知施設の被害状況の概要と復旧・運営について協力要請を行う。また、やむを得ない場合には飼育動物の安楽死を依頼する。
  3. 地震発生1週間後以降

    1. 飼育管理体制への立て直し
      1. 動物への給餌・給水を確立
      2. 汚物処理・飼育室の清掃・消毒等の衛生管理
      3. 飼育設備の位置調整・修理
    2. 施設機能の回復
      1. 倉庫・事務室・実験室等の整理・整頓
      2. 被害状況についてのリストの作成・予算要求
      3. 被害状況、現在の飼育管理体制の報告、復旧方針の確認・了承、実験遂行の可否等の審議
    3. 断水・ガスの供給停止が長期化する場合の飼育管理における工夫
      1. マウス・ラット類の飼育全動物を床敷飼育にし、ケージに床敷を多量に入れて、ケージ交換は行わすに床敷交換のみを週一回実施する。給水瓶への補水あるいは充水にヤカンの使用が効果的である。
      2. 飲用水の確保動物施設で飲用水の確保が困難な場合には、外部機関に定期的に水の供給を依頼する。あるいは給水瓶の洗浄・消毒を依頼し、充水して納入してもらう。
  4. マスコミや一般市民からの質問あるいは取材依頼等に対する対応

    1. 緊急対策本部を窓口とし、動物管理責任者および研究所長(会社などでは広報担当も含める)等で協議のうえ対応のしかたを決定する。
    2. 対応内容については、緊急対策本部の必要部門ヘ報告する。

以上 (4)の地震時の対応は、阪神淡路大震災の事後報告(神戸大)をもとに作成。

目 次

【総目次】 まえがき

第1部 実験動物技術者のための飼育管理の手引き

はじめに Ⅰ 日頃の心がけ 1. あいさつ 2. 第一印象 3. ホウレンソウ 4. 誰がやっても同じ? 5. アマからプロヘの戦略的方法 6. プロ 7. 変化への対応 Ⅱ 動物実験と飼育管理 1. 動物実験 (1) 私たちの仕事の目的 (2) 動物実験に影響を与える要因 (3) 仕事の目的 (4) 動物実験データの信頼性保証 (5) 生データ (6) 動物実験とGLP (1983:日本) (7) 実験成績変動要因とSOP (8) 動物実験と福祉 2. 飼育管理業務 (1) 業務の分業化 (2) チームワーク (3) 業務で求められる実験動物技術者の技能 (4) OJT (5) 実験動物 3. 施設の管理 (1) 施設管理と動線 (2) 環境基準値 (3) 照明 (4) 気流 Ⅲ 日常業務 1. 日常の飼育管理作業 (1) 飼育管理業務の流れ (2) 動物施設での飼育管理作業の注意点 (3) 動物の搬入 (4) 飼料の入荷、搬入と保管 (5) 床敷の搬入 (6) 飲料水の搬入 (7) 実験用器具・器材・被験物質(検体)の搬入 (8) 器具・器材の洗浄、消毒、滅菌 2. 飼育室内作業 (1) 入室時の手指の消毒 (2) 温度・湿度の点検 (3) 臭気の点検 (4) 動物の観察 (5) ケージ交換 (6) 給餌 (7) 給水 (8) 飼育室の清掃と消毒 3. 飼育管理業務とミス (1) 実施上起こる頻度の高いミス 4. 飼育管理における動物の取り扱い (1) ハンドリング (2) 保定の目的と保定法 (3) 性別判定 (4) 個体識別法 (5) 体重測定法 (6) 飼料、飲水の摂取量測定 5. 飼育管理技術者の健康 (1) 健康と安全のための留意事項 (2) 動物の被毛や排泄物に起因ずるアレルギー (3) ラテックス手袋に起因ずるアレルギー (4) 人獣共通感染症 (5) 作業環境 Ⅳ 緊急時の対応 1.非日常(緊急時)の飼育管理 (1) 感染症の発生が疑われたときの対処(その1:調査と報告) (2) 感染症の発生が疑われたときの対処(その2:隔離) (3) 働物施設空調設備、エネルギー供給などの故障時の対応 (4) 地震による動物施設ノ設備の破損および動物飼育の維持などの対応

第2部 研究者・実騒技術者のための小動物実験の手引き

はじめに Ⅰ 動物実験編 1. 動物実験 (1) 実験動物の使用 2. 動物実験の目的と必要性の明確化 (1) 動物実験の例 3. 動物実験を行う時の注意点 (1) 科学的であること (2) 実験の計画 (3) 人道的に行うということ (4) 人道的エンドポイント (5) 動物実験を取り巻く環境の変化 (6) 法や機関の内規が遵守されていること (7) 動物実験倫理委員会と動物実験計画書 (8) 動物実験に携わる人の健康と安全 Ⅱ 実験操作編 1.実験操作法 (1) 個体識別法 (2) 体重測定法 (3) 保定法 (4) 投与法 (5) 採血法 (6) 採尿法 (7) 外科手術 (8) 動物実験に用いられる主な消毒薬 (9) 麻酔法 (10)術後の痔痛管理法 (11)解剖法 (12)実験動物の安楽死法

第3部 動物実験の適正な実施に関するガイドライン

Ⅰ 概要と運用にあたっての解説 はじめに 第1 定義 第2 機関等の長の責務 第3 動物実験委員会 第3-1 動物実験委員会の役割 第3-2 動物実験委員会の構成 第4 動物実験計画の立案および実験操作 第4-1 動物実験計画の立案 第4-2 実験操作 第4-2、1 実験室および実験設備 第4-2、2 身体の保定 第4-2、3 給餌および給水制限 第4-2、4 外科的処置 第4-2、5 鎮痛処置、麻酔および術後管理 第4-2、6 人道的エンドポイント 第4-2、7 安楽死処置 第4-2、8 安全管理への配慮 第4-2、9 履行結果の報告 第5 実験動物の選択および授受 第5-1 実験動物の導入 第5-2 検疫および」順化 第5-3 輸送 第5-4 実験動物の授受における情報提供等 第6 実験動物の飼養および保管 第6-1 飼養および保管の基本 第6-2 ケージ内環境と飼育室の環境 第6-3 記録類の保存 第7 実験動物の健康管理 微生物モニタリング実施に当たっての検討事項 第8 施設等 第9 安全管理 第9-1 危険因子の把握と取扱い 第9-2 実験動物による危害防止 第10 教育訓練等の実施 第11 その他 Ⅱ 自己点検・評価 動物実験実施に関ずる自己点検評価SOP案 285 自己点検チェック表 Ⅲ 遺伝子組換生物等の使用等に関する法令違反例
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