近年大きな関心を集めている環境・エネルギー問題を取り上げ、最先端の研究成果および将来展望をわかりやすく紹介しています。
目 次
◇はじめに
◇今後のエネルギー環境技術
茅 陽一(財団法人地球環境産業技術研究機構副理事長・研究所長)
・化石燃料の供給を制約する2つの問題
・脱化石燃料と省エネルギー
・産業界におけるエネルギー効率化
・脱化石燃料を進める原子力発電
・風力発電と太陽光発電が抱える問題点
・自然エネルギーの有効利用─バイオマス燃料とヒートポンプ─
・未来を担う大規模自然エネルギー
・二酸化炭素を地中に埋め込むCCS
◇太陽光と水から水素を生成する光触媒の開発
─クリーンで再生可能な水素エネルギー─
堂免 一成(東京大学大学院工学系研究科教授)
・次世代エネルギーとして注目される水素
・人類の将来を担い得る太陽エネルギー
・太陽エネルギーが抱える2つの障壁
・光触媒を使った水の分解とは
・無機の固体材料を使った光触媒研究の現状
・光触媒で使える波長領域
・紫外光を用いての水分解法
・量子収率50%を超えるタンタル酸ナトリウム
・可視光を利用するための光触媒
・可視光を吸収する光触媒の作製
・さらに長波長で使うための光触媒の作製
・還元剤を用いた水分解
・光触媒が秘める可能性
◇人工光合成をめざして
井上晴夫(首都大学東京都市環境科学研究科教授)
・生物の生活を支える光合成
・光合成のしくみと増感剤の働き
・天然の光合成の優れたシステム─電荷分離状態の維持─
・人工光合成実現への課題
・水を電子源とする人工光合成システムの構築へ向けて
・2電子変換で水から可視光で水素、酸素を得る
・水を電子源とした二酸化炭素の可視光還元
◇新規欠陥消滅法によるシリコン太陽電池の高性能化
─環境に優しいゼロエミッションプロセス─
小林 光(大阪大学産業科学研究所教授)
・太陽竃池がもたらす炭酸ガス削減効果
・太陽電池のしくみ
・エネルギー変換効率を下げる欠陥準位の問題を解消する方策
─シアンを用いた新規欠陥消滅法─
・多結品シリコン太陽電池の高効率化
─加熱に対しても安定な新規欠陥消滅法─
・メーカー製造の太陽電池の高効率化
・Cu2Oを用いた欠陥消滅処理
・HCN水溶液を用いた欠陥消滅型半導体洗浄法
・HCNの使用にあたっての安全対策
・ゼロエミッションでの半導体洗浄・欠陥消滅装置
◇熱から直接電気を取り出す夢の結晶─熱電変換材料─
河本 邦仁(名古屋大学大学院工学研究科教授)
・熱エネルギーを電気エネルギーへ
・熱を電気へと変える技術
・熱電変換を利用した応用技術
・環境問題への切り札となる酸化物系の熱電変換材料の開発・
・日本発の酸化物熱電変換材料
・熱電材料の設計の新たな提案
・n型酸化物の新材料─チタン酸ストロンチウム─
・固液体化でZTを高める
・超格子をつくるメリット
・熱電変換技術を用いてエネルギー利用効率を高める
◇ナノテクで磁東量子をあやつる
─21世紀エネルギーネットワークと高温超伝導─
松本 要(九州工業大学工学部教授)
・実用化へ進み出した高温超伝導
・超伝辱とはどのような現象か
・第1の難問・高温超伝導の粒界問題をクリアする新材料
・第2の難問・ゼロ抵抗を壊す渦糸という存在をクリアするピン止め
・世界記録を実現した高温超伝導体によるピン止め
・高い特性へのカギを握るピン止めをシミュレーションで探る
・21世紀のエネルギーネットワークを高温超伝導体が支える
◇電気自動車は地球を救えるか
清水 浩(慶応義塾大学環境情報学部教授)
・温暖化とオイルピーク説という2つの問題
・二酸化農素排出量の2割を占める自動車─電気白動庫の有効性─
・日本発の新技術で電気自動車の性能を上げる土台が整ってきた
・新技術を生かした電気自動車の新設計
・ポルシェ911を超える加速性能
・電気自動車の普及へ向けて