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実験動物としてのマウス・ラットの感染症予防対策

実験動物としてのマウス・ラットの感染症予防対策

商品コード: ad10027

監修:(社)日本実験動物学会
編集:(社)日本実験動物学会、マウス・ラット感染症対策委員会

発行日: 2011年4月20日
判型: B5判
頁数: 178ページ
書籍コード: ISBN978-4-904419-22-9 C3047
定価:2,700円 (本体価格:2,500円)

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動物実験で多く扱われるマウス・ラットの感染症対策に主眼をおいた内容。
感染症の特徴からみた実験動物の感染症コントロールの必要性を説明し、感染症検査の目的と方法を具体的に紹介。
感染症事故発生後の対応・対策(施設としての対応、消毒手順など)および感染事故を予防するための各種方策を紹介しており、実験動物関係者は必見。 

はじめに

本マニュアルは、実験動物の生産施設あるいは動物実験施設で維持されているマウスやラットを対象とし、感染事故の発生あるいは感染事故発生が懸念される事態に遭遇した際の具体策を書き記したものである。マウスとラットに限定した理由は、これら動物種が我が国では遺伝的・微生物学的に十分に品質管理された実験動物として最も多く使用されているからである。(社)日本実験動物学会のマウス・ラット感染対策委員会(現感染対策委員会)では情報交換の中で、良質な動物の供給体制は確立されているが、動物実験施設における感染事故は、その発生頻度は低下しているものの依然として認められていることが議論され検討されている。実際に感染事故発生時の対応が遅れたために感染症を蔓延させてしまったケースや十分な検討がないまま動物の全頭処分を行ってしまったという過剰な対応といった不適切な対応がなされたため、時間と経費が無駄になったと思われる事例も見出されている。そこで感染事故発生時の対応と感染事故発生の予防に関してのマニュアル作成を計画した。

本マニュアルは、会員への配付を目的として作成したため、できるだけ実際に役立つ内容ということで感染症の発見、診断、対策について具体的な紹介をさせていただいた。さらに一般の動物施設で遭遇する可能性がある施設内への昆虫など節足動物の侵入への対応についても言及した。SPF動物生産施設においても感染事故は散見されている。実験施設においては複数の施設からの動物の搬入、生物材料の投与、動物実験など感染症持ち込みの機会は多々あり、また実験により動物に与えるストレスは、感染抵抗性を減弱させ発病の機会を増大させる可能性がある。実際に現場で飼育管理に携わっている技術者が本書を傍らにおいて役立てていただければ幸いである。

目 次

はじめに

第1章 実験動物としてのマウス・ラットの感染症コントロール

1 感染症の成立・感染症コントロール
(1)感染症の成立
  1)病原体(感染源)
  2)感受性宿主(種差と系統差)
  3)感染経路
(2)症状
 1)顕性感染と不顕性感染
 2)Host-parasite relationship
(3)経過(急性感染と持続感染)
(4)感染症の特徴

2 感染症コントロールからみた実験小動物マウス・ラットの特殊性
(1)実験動物と実験用動物
(2)マウス・ラットの飼育形態の特殊性
(3)易感染動物が使われるという特殊性
  1)SPF動物
  2)免疫不全動物
  3)実験処置に先立つ動物の輸送と動物実験
(4)感染症コントロールにあたってのマウス・ラットと家畜との比較
  1)コントロール対象微生物
  2)コントロールの方法

3 感染による生産や実験への影響
(1)A.人獣共通感染症
(2)B.病原性が強い病原体(顕性感染)
(3)C.病原性が弱い病原体(一部で顕性感染)
  1)試験の再現性の低下
  2)実験成績へのノイズ
  3)生物材料への病原体の混入
  4)不顕性感染の顕性化
  5)免疫不全動物での発病
(4)D.病原性が極めて弱い病原体(日和見病原体)
(5)E.非病原性寄生虫(消化管内寄生原虫や線虫類)

第2章 感染症検査(診断と微生物モニタリング)

1 検査方法の実際
(1)剖検
(2)鏡検による微生物の検出
(3)培養(病原体の分離)
(4)抗原検査
(5)核酸検査
(6)血清抗体検査
(7)病理組織学的検査

2 動物施設における検査室

3 診断手順
(1)状況の正確な把握
  1)異常個体の検査
  2)集団としての情報収集
  3)感染症の疫学的特徴
  4)症状から推察される原因と対策
(2)診断のための微生物検査方法

4 微生物モニタリングの考え方、手順と成績の読み取り
(1)実験動物の品質管理
(2)微生物モニタリングの位置付け
(3)微生物モニタリングの必要性(動物実験への影響)
(4)微生物モニタリングの実際
  1)検査対象動物
  2)検査項目の設定
  3)コンベンショナル動物施設での感染症検査
  4)検査方法の選択
  5)モニタリングの実施
(5)微生物モニタリング成績の読み取り方
(6)微生物モニタリング成績の活用(感染事故の防止)

第3章 感染事故対策

1 感染事故の早期発見とその対策(一般手順)
(1)事前準備
(2)異常動物発見時の第一次対応
(3)感染症発生の可能性が高まった場合の第二次対応
(4)実験動物感染症の発生原因
(5)感染症の早期発見のために
(6)防圧活動と終息確認

2 感染対策に関係する法規制と個別感染症の対応事例
(1)感染症法
(2)検疫法と家畜伝染病予防法
(3)腎症候性出血熱(HFRS)が発生した場合の対策
(4)リンパ球性脈絡髄膜炎(LCM)が発生した場合の対策
(5)マウス肝炎ウイルス(MHV)が発生した場合の対応

3 汚染動物施設の消毒手順
はじめに
(1)感染症事故発生(異常動物の診断あるいは微生物モニタリング)
(2)機関内での連絡、対策委員会の設置、汚染実態の把握、汚染施設の隔離
(3)対策の決定
(4)汚染動物等の処分
(5)汚染施設の除染
  1)動物飼育施設の除染
  2)加熱
  3)消毒剤の噴霧や塗布
  4)紫外線殺菌
  5)ガス燻蒸
  6)フィルタの除染
(6)施設再開に向けての洗浄・消毒(クリーンアップ)
  1)動物飼育施設の清掃
  2)動物飼育施設の洗浄・薬剤消毒
  3)消毒作業時の人や環境への影響の回避
  4)消毒期間中の施設運用
(7)環境微生物モニタリング
  1)環境微生物モニタリングの意義
  2)環境微生物モニタリングの手順
  3)微生物サンプリング方法と装置
  4)評価基準
  5)動物の試験導入による消毒の確認

4 動物や生物材料からの汚染動物や生物材料のクリーニング

(1)汚染動物のクリーニング
  1)帝王切開法
  2)受精卵移植法
  3)隔離飼育法
  4)抗生物質や駆虫剤の投与
  5)早期里子法
(2)汚染動物材料や細胞などのクリーニング
  1)血液や細胞など生物材料の微生物汚染例
  2)生物材料の汚染における免疫不全動物使用の問題点
  3)病原体汚染培養細胞や生物材料から病原体の排除

第4章 感染事故の予防

1 動物入手時の検討事項
(1)微生物モニタリングの対象とする微生物の種類や検査法の検討
(2)作業動線に関する検討
  1)動物実験施設における人の入退館手順
  2)飼育室における人の入退館手順
(3)動物の輸送に関する検討

2 検収と検疫
(1)動物の入手時の検収
  1)動物を受け取る前の準備
  2)検収
(2)生物材料の入手時の検収
(3)動物の検疫
  1)検疫
  2)入手直後の動物の微生物モニタリング
  3)飼育中の動物の微生物モニタリング

3 感染経路対策
(1)動物実験施設のこれまでの経緯
(2)動物実験施設の基本構成
(3)感染症対策に配慮された動物実験施設
  1)バリアの設定
  2)動線の最短化
  3)気密化
  4)搬入物の消毒
  5)衛生的管理と電解機能水
  6)飲水管理
  7)差圧維持
  8)更衣室・シャワー室
  9)洗浄室
  10)廃棄物と保管室
  11)記録と保存室
(4)感染防御設備の活用と問題点
  1)バイオバブルクリーンルーム
  2)ケージ・ラックシステム(個別換気式システムなど)
  3)陰圧VIC(Ventilated Isolation Cage-rack)システム
  4)マウス用クリーンラック(SCS)
(5)消毒と滅菌
(6)飼育者・利用者対策

4 実験動物施設の昆虫など節足動物対策
はじめに
(1)動物実験施設で見いだされる節足動物などの医生物
(2)防虫対策の必要性
  1)バリア維持の指標
  2)感染症の施設内持ち込みの防止
(3)節足動物などの検査法、駆除方法、防虫対策の実際
  1)マウス・ラットに寄生する節足動物
  2)マウスやラットに寄生しないが動物施設で見いだされる節足動物など
おわりに

第5章 マウス・ラットの感染症
I ウイルス
 マウス痘瘡
 げっ歯類のパルボウイルス感染病
 センダイウイルス感染病
 乳酸脱水素酵素ウイルス感染病
 マウス肝炎
 マウス脳脊髄炎
 マウスノロウイルス感染病
 マウス肺炎ウイルス感染病
 マウスレオウイルス3型感染病
 マウスロタウイルス感染病
 リンパ球性脈絡髄膜炎
 唾液腺涙腺炎
 ハンタウイルス感染病

Ⅱ 細菌
 腸粘膜肥厚症
 コリネ菌病
 ヘリコバクター病
 マイコプラズマ病
 パスツレラ病
 サルモネラ病
 ブドウ球菌病
 ティザー病
 緑膿菌病
 気管支敗血症菌病
 カーバチラス病

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