「母性」はどこから生まれるのでしょうか? わが子を慈しむのは動物も人間も同じです。本書では、母性の源となる体内のはたらきを、ネズミ(マウス、ラット)での神経研究、ホルモン研究、脳研究などで得られた知見から、わかりやすく紹介し、動物の母性行動の研究を通して人間の母性について考えていきます。
目次
はじめに 第1章 母と子の絆 斎藤 徹(日本獣医生命科学大学) はじめに/ネズミとは/赤ちゃんネズミの誕生/母性行動/母子間コミュニケーション/どちらの親が子どもを育てるか/おわりに 第2章 ホルモンから見た母と子の絆 田中 実(日本獣医生命科学大学) はじめに/ホルモンのはたらきとは/ホルモンとはどのような物質なのか/ホルモンが作用するしくみ/母性愛を強めるホルモン/「母は強し」と言われる理由/プロラクチンはストレスに強くする/ベビーシッターをするとプロラクチンの分泌が多くなる/生まれ(遺伝子)、それとも育ち(環境)が原因?/ストレスに対処するホルモン/幼少期のストレスが遺伝子のはたらきを変える/ホルモンが心の性を決める/母乳中プロラクチンの子どもの脳への作用/おわりに 第3章 脳から見た母と子の絆 山内 兄人(早稲田大学) はじめに/脳の形と神経回路/神経細胞の集団である神経核/神経伝達物質が情報を伝える/子どもからの信号/母性行動神経回路で重要な視索前野/嗅覚神経路と母性行動/母性行動とオキシトシン神経/母性行動とセロトニン神経/母性行動開始と脳のメカニズム/未経産ラットでも母性行動の神経回路をはたらかせることができる/オスラットの母性行動/母性行動の発達と脳/母性行動をする子どもとしない子ども/巣箱の効果/思春期での母性行動の減少/おわりに 著者紹介