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実験動物の微生物モニタリングマニュアル

実験動物の微生物モニタリングマニュアル

商品コード: ad10014

著者:  社団法人日本実験動物協会モニタリング技術小委員会
編集:  社団法人日本実験動物協会

発行日: 2005年11月 1日
判型: A4判
頁数: 96ページ
書籍コード: ISBN4-900659-52-5 C3047
定価:8,250円 (本体価格:7,500円)

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本書は、初版以降新たに開発されたモニタリング技術を加え、読者が一目で理解でき得るよう、左右見開きとし左ページに解説、右ページにはカラー写真を挿入しています。
 また本書は既に出版されている「実験動物の技術と応用 入門編・実践編」の副読本としてもご利用いただけます。



はじめに

 本書の初版「微生物モニタリングマニュアル」が発行されたのは、本会が公益法人として農林水産大臣に認可されて間もない昭和63年のことでした。それから約20年間、本会のモニタリングの指針・教科書として皆様に親しまれ、愛着を持って活用されてまいりました。この間、国際的な物流の増大による新興再興感染症の発現、世界的な大競争にあるポストゲノムの研究など、実験動物を取り巻く環境は大きく変化しております。

 そのひとつである遺伝子組換え動物はまさに近未来の医療革新の要として登場し、その数的増大には目を見張るものがありますが、一方で深刻な微生物汚染を引き起こすなど憂慮すべき問題も多々発生しております。また、医薬品開発の激しい競争の中で、非臨床試験の効率化において、実験動物の高品質化は極めて重要な要素であります。一方、改正動物愛護管理法において3Rが明記されたことにより、動物実験を実施する上で、実験動物の安定的な品質維持こそが3Rのひとつである「数の削減」を実効なしえるものとして重要なところであります。

 かかる実験動物の質的重要性に鑑み、実験動物・動物実験関係者から当該初版増刷の声が日増しに拡大しております。本会はこれらのニーズにお応えすべく、モニタリング技術小委員会のもとで2年に渡り改正版の作成に取り組んで参りましたが、いよいよここに完成を見ることとなりました。

 本書は、初版以降新たに開発されたモニタリング技術を加え、読者が一目で理解でき得るよう、左右見開きとし左ページに解説、右ページには90枚に及ぶカラー写真を挿入するという編集内容にしております。

 本書が発刊された機に実験動物・動物実験関係者は言うに及ばず、医学・生命科学を領域とする大学や専門学校の学生、高等学校の生徒のみなさんの座右の書としてご利用頂きたいものと念じております。

 また、実験動物技術者や指導者にとりましても、「実験動物の技術と応用」(入門編)、「実験動物の技術と応用」(実践編)の副読本としてご活用くださいますようお願いいたします。

 最後になりましたが、本書の編集に当たりご苦労されたモニタリング小委員会担当の日政彦理事、高倉彰委員長、各委員及びご執筆をいただいた各執筆者の方々に深く感謝いたしますとともに、幅広いみなさんにご愛読をお願いしてご挨拶といたします。

   平成17年10月
社団法人日本実験動物協会 会長 後藤 信男

編集にあたり

 本マニュアルは1986年に(社)日本実験動物協会から出版された「実験動物の微生物モニタリングマニュアル」(旧マニュアル)の改訂版である。旧マニュアルはわが国で初めて出版された微生物モニタリングマニュアルであり、微生物モニタリング(以下モニタリング)の啓蒙・教育活動および自家検査の普及に活用されたが、改定されることなく絶版となった。そこで本協会モニタリング技術小委員会では、本協会会員、賛助会員ならびにその他実験動物関係者からの要望に応えるためにも、旧マニュアルの大改定を試み、出版に至った。

 本マニュアルは第一章「微生物モニタリング」と第二章「モニタリング対象微生物のプロファイル」の二部構成にした。第一章は、I.モニタリングの意義、II.モニタリング計画の立て方、III.検査手技からなり、III、IIIIではモニタリングの目的とその有用性と、信頼性の高いモニタリングを実施するための、注意事項および各検査法の利点・欠点に関し解説した。さらにIIでは培養検査、血清反応、鏡検および遺伝子増幅法の実際を紹介し、検査実施の際のポイントを解説した。第二章は、現在日動協メニューに取り上げられている検査対象微生物を中心に、各微生物のプロファイルを分類・性状、宿主・病態そして診断に分け紹介した。またプロファイルの中に病変、培地上のコロニーや寄生虫等の写真を掲載し、それを見開きにすることにより、プロファイルを読みながら写真がみられるように構成した。

 近年、わが国の実験動物の微生物学的品質の向上は目覚しく、旧マニュアルが出版された当時には頻発していたSendai virusなど、強い病原性をもつ微生物の感染事故はほとんど認められなくなった。一方、不顕性感染や日和見感染を起こす微生物の感染事故は現在でも散見されており、実験動物施設の感染防御体制は緩めることはできない。そこで本マニュアルが現場で日々活躍している実験者、管理者の方々やこれから実験動物の世界に足を踏み入れる新人の方々の実験動物の微生物管理マニュアルとして、活用されることを希望する。また本書はすでに出版されている「実験動物の技術と応用 入門編・実践編」の副読本として利用されることも期待する。

 最後に、本マニュアルの発行に関し協力いただいた本協会事務局およびモニタリング技術小委員会メンバー、執筆者そして写真等貴重な資料を提供いただいた編集協力者の方々に深謝し、また横田社長はじめ(株)アドスリーのスタッフの方々に心より感謝する。

   平成17年10月
社団法人 日本実験動物協会モニタリング技術小委員会委員長 高倉 彰

編集委員・執筆者・編集協力者

編集委員
(社)日本実験動物協会モニタリング技術小委員会
 日栁 政彦  (株)日本医科学動物資材研究所
 高倉 彰   (財)実験動物中央研究所
 八神 健一  筑波大学生命科学動物資源センター
 山田 靖子  国立感染症研究所動物管理室
 桑原 吉史  北山ラベス(株)
 丸山 みゆき (株)ナルク
 深澤 清久  (株)三菱化学安全科学研究所

執筆者
 高倉 彰   (財)実験動物中央研究所
 八神 健一  筑波大学生命科学動物資源センター
 山田 靖子  国立感染症研究所動物管理室
 大橋 弘明  (財)実験動物中央研究所

編集協力者
 齋藤 學   元国立感染症研究所
 川本 英一  東京医科大学動物実験センター
 伊藤 豊志雄 (財)実験動物中央研究所
 後藤 一雄  (財)実験動物中央研究所
 石田 智子  (財)実験動物中央研究所
 野津 量子  (財)実験動物中央研究所
 林元 展人  (財)実験動物中央研究所
 保田 昌彦  (財)実験動物中央研究所
 植野 昌未  (財)実験動物中央研究所
 亀田 周子  (財)実験動物中央研究所

目 次

はじめに
編集にあたり
編集委員・執筆者・編集協力者一覧

第1章 微生物モニタリング

I. 微生物モニタリングの意義

II. モニタリング計画の立て方

1. 微生物モニタリングの目的
2. モニタリング計画の立て方
 2-1. 検査対象微生物の選択
 2-2. 検査方法の選択と利点と欠点
 2-3. 検査頻度
 2-4. サンプリング
 2-5. モニタリングの実施

III. 検査手技

1. 検査材料採取手順
 1-1. 臨床症状の観察
 1-2. マウス・ラット・ハムスターからの検査材料の採取
 1-3. モルモット・ウサギからの材料採取
2. 細菌同定法
3. 血清反応
4. 遺伝子増幅法

資料1. 市販生培地、同定試薬一覧

IV. 微生物汚染確定後の対処

第2章 モニタリング対象微生物のプロファイル

I. ウイルス

1. センダイウイルス(Sendai virus)
2. マウス肝炎ウイルス(Mouse hepatitis virus:MHV)
3. 唾液腺涙腺炎ウイルス(Sialodacryoadenitis virus:SDAV)
4. エクトロメリアウイルス(Ectromelia virus)
5. ウサギポックスウイルス(Rabbit pox virus)
6. ハンタウイルス(Hantavirus)
7. リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(Lymphocytic choriomeningitis virus:LCMV)
8. マウスアデノウイルス(Mouse adenovirus、Mad-1 Mad-2)
<その他のウイルス感染>
9. マウスロタウイルス(Mouse Rotavirus:MRV)
10. マウス肺炎ウイルス(Pneumonia virus of mice:PVM)
11. パルボウイルス(Rodent parvovirus)
12. 乳酸脱水素酵素ウイルス(Lactic Dehydrogenase-Elevating Virus:LDV)

II. 細菌・真菌

1. 肺マイコプラズマ(Mycoplasma pulmonis)
2. ティザー菌(Clostridium piliforme)
3. サルモネラ(Salmonella spp.)
4. 腸粘膜肥厚症菌(Citrobacter rodentium)
5. 肺パスツレラ(Pasteurella pneumotropica)
6. パスツレラ(Pasteurella multocida)
7. ネズミコリネ菌(Corynebacterium kutscheri)
8. 気管支敗血症菌(Bordetella bronchiseptica)
9. 肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)
10. 溶血連鎖球菌(Streptococcus zooepidemicus)
11. 緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)
12. 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)
13. 皮膚糸状菌(Dermatophytes)
14. ヘリコバクター(Helicobacter hepaticus, Helicobacter billis)
15. 仮性結核菌(Yersinia pseudotuberculosis)

III. 寄生虫

1. 消化管内原虫(Intestinal protozoa)
2. 蟯虫(Pinworm)
3. 外部寄生虫(Ectoparasits)
4. コクシジウム(Eimeria spp.)
資料2. 日動協メニュー(ハムスター、モルモット、ウサギ)

引用文献・参考文献
索引

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