40年後には高齢化率が44%の時代を迎えるといわれている日本。出生数の低下にともない高齢化率が増加の一途をたどるわが国では、国民一人ひとりの健康寿命の延伸が大きな課題となっている。
その一方では、介護保険に関連する山のような課題。介護保険は、2000年の介護保険制度スタート時と比べ、改正のたびに利用しづらいものとなっている。国が提唱する健康寿命の延伸とは、いいかえれば"死ぬまで自立"が求められる時代を迎えたということでもある。
このような社会を背景に、現在、工学分野では高齢者の自立支援型のロボットや介護者の負担軽減を目的とするロボットなどの開発が進められている。今回の特集では、すでに実用化されている製品の紹介も含め、東京都に本社を置く菊池製作所、首都大学東京、広島工業大学、中京大学での取り組みを見てみたい。
【特集】介護ロボットが超高齢社会を支える時代がやってきた
擬人的媒体を用いた高齢者のためのコミュニケーション支援システムの研究 / 安部 伸治(広島工業大学)
おもてなしの感性を生かした介護機器づくりをめざして / 一柳 健(菊池製作所 ものづくりメカトロ研究所)
高齢者の精神的ストレスを緩和─赤ちゃんロボット『Babyloid』でいきいき生活 / 加納 政芳、種田 行男(中京大学)
日常支援型ロボット研究とこれから─介護予防ロボット / 下川原 英理、藤本 泰成、山口 亨(首都大学東京)
【総説】
健康長寿社会の実現に向けた糖尿病対策の重要性~専門家ワークショップでの議論より~ / 重茂 浩美、小笠原 敦(文部科学省科学技術・学術政策研究所)
新潟大学歯学部と産学連携開発 摂食・嚥下困難者用『ふっくらおかゆ』で美味しく元気に!! / 髙橋 肇(亀田製菓株式会社 お米研究所)
【連載】
超高齢社会を元気で安心に過ごしていただくための歯科の役割<第3回>病院歯科における医科歯科の連携 / 日下 輝雄(経済産業省 大臣官房情報システム厚生課 厚生企画室)
医工連携<第2回>
本郷エリアの製販企業のもつ側面 / 柏野 聡彦(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)
海外科学雑誌情報
Silva Scientiae XXIX ─動物実験について考える─ / 久原 孝俊(順天堂大学大学院医学研究科アトピー疾患研究センター)